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特集1 企業開示と対話の行方


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健全な投資を阻む日本の資産運用の問題点と今後

機関投資家と企業の望ましい関係の在り方が、今改めて問われている。
長期投資家は、スチュワードシップ責任をどのように捉え、企業や株式市場とどのように向き合い、企業との対話を通じて何を見ているのだろうか。その視点に迫った。

藤野英人

レオス・キャピタルワークス株式会社
代表取締役社長 最高投資責任者

Profile
レオス・キャピタルワークス代表取締役社長 最高投資責任者。
1966年、富山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。野村證券系、JPモルガン系、ゴールドマン・サックス系の投資運用会社を経て、2003年レオス・キャピタルワークスを創業。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネージャーとして豊富なキャリアを持つ。運用する「ひふみ投信」は4年連続でR&I優秀ファンド賞を受賞。JPXアカデミー・フェロー、明治大学商学部兼任講師も務める。著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)など多数。

販売会社の支配下にある資産運用会社
資産運用会社の歴史は大航海時代のメディチ家に始まる。貿易で得た富を維持・発展させるための自己資金の運用からスタートして、さらに他の富裕層の資金も集めていった。ロバート・フレミングもフィデリティもキャピタル・グループもバンガードも、こうした資産運用会社として誕生している。

日本の場合は経緯が異なる。敗戦後の財閥解体によって、資本を蓄積していたファミリーや法人がほとんどなくなった。そのため、個人が銀行預金や郵便貯金にコツコツと貯蓄した、その資金を基に金融機関が資産運用業務をするようになる。銀行や証券会社が資産運用会社を子会社に持ち、蓄積した本体の資金をそこに移動させて再度手数料や信託報酬で収益を再回収する――「蓄積された資金の二次利用」のモデルとして発展したのだ。